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akika
秋元譲さん

ディレクター・デザイナー・WEBコンサルタント 秋元 譲さん 多古町で育ち、高校卒業後に東京へ。美術学校卒業後、広告関係の仕事に携わり、2016年にUターン。現在は実家を拠点に活動中。 詳しく見る

早すぎたリモートワーク。気づきの多い4年間

どうしてUターンしようと思ったんですか?

東京で広告制作会社に勤めた後、グラフィック・WEBデザインやWEBマーケティングなどの仕事を請け負うフリーランスのデザイナーを15年ほど続けてきました。

インターネットを介してできることが徐々に増え、都会と田舎を両立した暮らしを何となく考えていました。東京にいても打ち合わせや会議でSkypeなどのリモートで出席していたんですが、当時はまだそういう働き方の認知度が低く、肩身が狭い事もありました。他人と違うワークスタイルを選ぶことで、気遣いもありましたが、一方で対面の必要性がない事が徐々に増えていました。それならいっそのこと、地方を本拠地にしよう、と実行したのが4年前でした。

まったく知らない土地でイチから始める不安もあったのと、40代を目前に高齢の両親のことも気になっていたので、地元を拠点にしようとUターンを決意しました。もしリモートが失敗しても、今ならまだ東京に戻ってやり直せる。これが50代だとキツイだろうな、という考えもありました。私自身は独身なので、その点では身軽でした。

6次産業化における特産品のパッケージデザインなど、地域と結びついた新しい仕事を着実に

現在はどんなお仕事に取り組んでいますか?

東京のフリーランス時代から続けてきた「秋元企画」という屋号を、Uターンを機に「akika」に変え、地域との結びつきを強めています。具体的には、行政関係のポスターやチラシの作成、特産品の商品パッケージデザイン、Webコンサルタントなどです。以前からの繋がりで、本の挿絵やCDのジャケットデザインなどを依頼されることもあります。

それから、現在ソーシャルビジネスを事業化しようと進めています。例えば、2019年秋に千葉県を襲った台風では町内でも強風による建物損壊や停電などの被害がありました。処理に困るような倒木もたくさん出たんですが、倒木も見せ方を変える事で椅子などインテリア的に映えるものもあります。社会課題や生活の中でこれまで着目されていなかったモノやコトをデザインする事で、新たな価値を与えるような事業をしていきたいと考えています。

雨ノ記憶秋元譲さん

多古町だからできることをリストアップ、一つひとつ実現する喜び

多古町に戻ってきてよかったことは何ですか?

自分の好きなモノ作りが自由にじっくりとできることです。

元々あった古い納屋をDIYでリノベーションし、アトリエにしたり、絵を描く仕事もあるので、静かな環境で集中できる事が特に良かったです。

Uターンする時に多古町でやりたいことをリストアップし、今は、それを少しずつ実行しています。

アトリエは完成したので、今後はカヌーなどのアウトドアや野菜作りをする予定です。考えていても今までできなかったことができたり、何でもとりあえずやってみようと思えるのがよかったな、と思います。ご近所づきあいも、玄関先にご近所さんが野菜を置いていってくれるようなこともあります。

成田空港にも近く、空港内には最新ショップもあるので、地方特有の買い物にすごく不便という事もないです。

受け身ではダメ。自分から動く意欲と行動力が不可欠

苦労していることは何ですか?

デザイン業特有かもしれませんが、都会のように、元々仕事がある中で受発注されるのではなく、自分から持ち掛けないと、新しいことが動かない、というのは、ここで仕事を始めて実感したことです。生活環境も同様で、例えば、町づくりに関わりたい、と思っても、ずっと多古町で暮らしている人と、一度、町を出た人とでは、町の魅力の捉え方も違います。そういう中で生活するには、受け身ではダメだと思います。

それから、個人的な事ですがUターンして間もなくは、生活のリズムが掴めず先々のことが不安になり、地元近くの安定した企業に就職しました。この間、地元のネットワークは拡がりましたが、それまでの東京との仕事の繋がりが薄れたのは、ちょっと失敗だったかもしれません。

地方で暮らす事は新たな生活をイチから始めるのではなく、今ある状況をうまく活かしながら、その土地に合わせてゆくのが良いと感じました。現在も試行錯誤しながら生活しています。

秋元譲さんアトリエ

アート関連のサポートなど、いろいろな夢が広がっています

これからチャレンジしたいことは何ですか?

Uターンをする前に、フィリピンに3ヵ月ほど留学をして、現地のボランティア活動に参加しました。そこで社会課題の解決に関心を持ち、これまで自分が活動してきた事が結び付けられないかと考えるようになりました。

アートによるハンディキャップをもたれた方の自立支援や様々なワークショップを企画していきたいと考えています。移住関連の事業も行っていきたいと考えています。

それと東京や地方にも拠点を置くのが目標です。

成田空港に近い多古町は県外へ行きやすい事もUターンするきっかけになっています。